第5回 「カメラぶれ」


 マニュアル・フォーカスの35mm一眼レフカメラには、ミラーアップ機能が付いたものがあり、この機能とレリーズを使用して少しでもカメラがぶれるのを防いで撮影していました。ミラーアップ機能とは、シャッターが切れる前にミラーをアップしておく機能で、シャッターを切った時にミラーの上下の動きによって発生するショックを無くしてしまうのです。

 オート・フォーカスの35mm一眼レフカメラには、このミラーアップ機能が付いたカメラがなかったのですが、ようやく最近、ミラーアップ機能が付いたカメラがあるようになりました。
 オート・フォーカスのカメラのレリーズは電子式で、機械式に比べれば当たりも柔らかく、これにミラーアップ機能があればこの上なくカメラぶれの発生が少ない撮影ができるはずです。
 中判の一眼レフカメラは、カメラも大きくそれだけにミラーも大きいのでミラーアップ機能は必要だと思います。

 カメラを購入の際は、よりカメラぶれの発生が少なくなるミラーアップ機能の有無も重要なチェック・ポイントといえます。
 ただし、ミラーアップ機能があるからといってミラーをアップしてすぐにシャッターを切るのではなく、ミラーアップ時のショックが残っていることを考慮して、ほんの少し、数秒の間をおいてシャッターを切ることをお薦めします。
 35mm、中判のレンジファインダーカメラや二眼レフには、シャッター前面のミラーがないのでその心配はありません。

 こんな話があります。プロ?カメラマンのとある話です。
 このカメラマンは、新しい中判の○○カメラとレンズを購入して早速撮影を行いました。新しいカメラと250mmの望遠レンズで、これを三脚に取り付け、スタジオで大型ストロボを使用してポジフィルムでモデルさんを撮影しました。
 カメラマンは、その写真の現像が出来上がってメーカーに怒鳴り込みました。「このカメラは使い物にならない。レンズが悪くてピントが甘い……」と。
 メーカー側もポジをルーペで確認しましたが言われたようにピントが悪いのです。でも、カメラやレンズには全く異常がありません。
 もう、気付かれた方もおられるかもしれませんが、カメラマンの全くの見当違いで、カメラマン自体の撮影が失敗だったのです。
 失敗の原因は、三脚やストロボを使用していることの過信から、三脚に取り付けたカメラのバランスを考慮せず撮影してしまったことです。
 中判のカメラに250mm程度のレンズを取り付けると、かなり重心が前方になり、それが蛇腹を繰り出すタイプだと更に重心が前方になり、蛇腹からレンズにかけてが下方向にしなったようになります。
 このままの状態で勢いよくシャッターを切ると、たとえ三脚を使用していても必ずカメラはぶれてしまいます。レリーズやミラーアップ機能を使用したりすればいいのですが、モデルなどの撮影の場合は、シャッターチャンスを逃しかねません。
 モデルの撮影ということもあり、良い表情をと思って気がはやったのでしょうが、このような時、三脚を使用していても、そのレンズをちょっと手で支えてやっておきさえすればカメラぶれは防げたはずです。
 望遠レンズを手で支えることよりもっと確実にサポートをするアクセサリーもあるので、三脚と併用することをお薦めします。

 カメラを三脚に取り付けてレリーズも使用せずに撮影している人をよく見かけます。せっかく三脚を使用していてもこれでは全く台無しです。特にレンズが望遠だとそれだけカメラぶれが起きやすくなります。
 うっかりとレリーズを忘れてしまった時には、セルフ・タイマーがあればそれを利用してシャッターを切るのもカメラぶれを防ぐ一つの方法です。この時、ファインダーの接眼部から目を離してセルフ・タイマーを利用すると、ここからの光の進入で露出が変化して適正でなくなりますので、接眼部にはキャップをするなどの対策が必要です。

 素晴らしい写真が撮影できてもカメラぶれが起きていては何もなりません。ピントが悪いのは、ピンボケよりカメラぶれのほうが多いのです。

 第6回は、「色温度」を予定しています。

2001.12.17





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